離婚:不貞を行った側で有利な条件での離婚を実現
2016.08.01更新
離婚する際によく話題に上がる慰謝料。ネット相談でも事務所相談でも,「相場はいくらですか?」「この金額で妥当ですか?」という質問を必ずといって良いほど受ける。皆さんの関心は主に金額にあるので,こうした疑問は当たり前。ただ,相場というのはあくまで「大体この枠に収まることが多い」という話で,実際には枠をはみ出すこともあるし,「枠」の中で具体的にいくら寄りになるかは,それこそ事実関係次第。今回の解決事例は不貞による離婚慰謝料。一般的には2~300万円の枠だが調停で減額したケース。
1 相談~受任
40代・女性。夫とは別居して数ヶ月。夫が興信所を使い,依頼者の浮気を突き止めた後、家から追い出したというのが別居の経緯である。夫から離婚調停を申し立 て,親権と慰謝料を主張した。夫は子どもに対し,依頼者が子ども達を捨てたと話しており,子ども達の信頼は傷ついていた。依頼者は,こうした状況で親権を主張するより,面会交流の中で事情を話し信頼を回復したいとのこと。そこで,問題はほとんど慰謝料に絞られた。
2 調停~解決
不貞に当たること自体は認めざるを得なかったが,夫婦関係が相当に悪化していたことは慰謝料の減額事由になるので,その点を重点的に主張した。夫婦は普段ほとんど会話もなく,食事と寝室は別,夫は土日の一部を家で過ごし,平日は会社の寮で過ごすなど,精神的なつながりは無くなっていた。不貞の期間は比較的長かったが,こうした不仲は不貞とは関係なく進んでいたから,大幅な増額事由にはならないだろう。最終的に,離婚した場合のいわゆる「相場」を大きく下回る金額で,一回当たりの支払をごく少額にして分割払いとした。その後、依頼者は子どもの誤解も解け,ちゃんと交流できていると報告をうけた。
3 ポイント
請求される側は,相手が「相場」を盾に請求してきても簡単に応じてはいけない。請求する側は「相場」の上限付近で請求することが少なくないが,相手の経済力次第で譲歩を迫られることもある。回収コストを考えるとその方が得ということもあるだろう。
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